ARTISTS

イヴ・タンギー

Yves Tanguy

 イヴ・タンギーは1900年フランス生まれ。海軍軍人の父を持ち、幼少期をブルターニュ地方で過ごす。自らも兵役を経験する。バスの乗車中にパリの画廊を見かけ、そこでジョルジョ・デ・キリコの作品に感銘を受けたことをきっかけに画家を志す。商船の船員として働いたのち独学で絵画に取り組み始め、25年にシュルレアリスムのグループに参加。初期の代表作に《ママ、パパが怪我したよ!(Mama, Papa is Wounded!)》(1927)があり、ジョアン・ミロなどの作風に類似する、植物とも動物とも取れる抽象的な物体を配した風景を描く。シュルレアリスムの画家たちが提唱した、オートマティスム(自動記述)とも呼ぶ無意識下のイメージを描く方法、また夢や幻覚からの連想によって制作を行う。タンギーの作品には海底、あるいは砂浜を思わせる無人の場所に石や骨のようなものが浮遊している構図が多く見られ、静寂な心象風景が表れている。後年の作品は宇宙的・未来工学的なイメージを伴い、現実にはない果てを想起させる風景を描いた。第二次世界大戦の勃発でフランスから逃れ、39年にアメリカに移住。40年、同じシュルレアリストであり画家のケイ・セージと結婚。42年にアメリカの国籍を得る。55年没。