EXHIBITIONS

秋山陽 ーFar Calls and Texturesー

2022.05.10 - 06.11

秋山陽 準平原 221(部分) 2022 撮影=福永一夫

 現代陶芸家・秋山陽の新作個展「Far Calls and Textures」が開催されている。

 秋山は1953年山口県生まれ。78年京都市立芸術大学陶磁器専攻科修了。亀裂という人知を超えるような現象を土の表面に呼び寄せて以降、人間の足元とつながる大地との関係性を真摯に問い、地殻、重力、振動、リズムなどをテーマに独自の造形表現を拓いてきた。自然の営みやものの成り立ちを見極め、内部と外部、生成と崩壊、連続と分断、遠心性と求心性といった制作課題を立てながら、秋山は、土とともに万物の根源たる「かたち」を探求し続けている。

 やきものの世界と出会った1970年代初頭、八木一夫に師事した学生時代より黒陶を用いた造形表現を模索しながらも、秋山が「土」と自身との接点を見出したのは、大学修了後に指導員として就職した知的障害者施設での経験からだった。粘土遊びを通して、身体的な感触を手がかりに土と関わっていく生徒たちの姿に学び、また自然界にある土や岩の物質性や内に潜むエネルギーへの気づきから、秋山は土に対するイメージを広げるとともに、造形素材というだけにとどまらない、未知の土との関わり合いを試していったという。

 本展では、亀裂を作品に取り入れ、1980年代より黒陶で制作・発表を始めた「準平原」シリーズを、焼成後に鉄粉を施す技法で今回新たに制作を試みた大型作品と、うつわ構造の空間関係を主眼に2000年代から継続している「Metavoid」シリーズより2点の大型作品をメインに展示。さらに10点の小作品がともに関係し合うように構成される。

 土の表面に走る亀裂をとらえた秋山の目は、大地そして水平線の向こう側に広がる大きな世界へと向かい、その手でつくり出される土の表情は精緻を極め豊かなエネルギーに満ちあふれている。