EXHIBITIONS

信楽窯業技術試験場移転記念展

ジャパン・スタイル-信楽・クラフトデザインのあゆみ

滋賀県立信楽窯業試験場(デザイン=熊倉順吉) ガーデンオブジェ(照明具) 1962 信楽窯業技術試験場蔵

滋賀県立信楽窯業試験場(デザイン=八木一夫) 干支(寅) 1961 滋賀県立陶芸の森 陶芸館蔵

 滋賀県立陶芸の森 陶芸館が信楽窯業技術試験場の移転を記念した展覧会「ジャパン・スタイル-信楽・クラフトデザインのあゆみ」を開催する。

 世界的なコロナ禍を転機に、暮らし方への関心が高まりつつあるいま、日常に癒しやくつろぎを求めようとする意識の変化に伴い、手仕事の温かさと土の魅力を活かした普段使いの「うつわ」のデザインが注目されている。

「デザイン」という言葉が広く知られる契機は、1957年に始まるグッドデザイン商品選定制度にあった。同時に国際競争力の強化を目指したデザイン振興施策が相次いで打ち出され、日本独特の美意識を活かした「ジャパン・スタイル」が探求されている。こうした動向のなか、日根野作三(ひねの・さくぞう、1907〜1984)は、クラフトデザイン運動の指導者として国内の陶産地で活躍。現在の信楽窯業技術試験場を拠点に展開した日根野のデザイン指導を通して、産地の次なる時代のモノづくりに活路を見出していった。

 日根野や、前衛陶芸集団「走泥社」同人としても知られる熊倉順吉(1920〜1985)の指導により、産地が一体となり火鉢低迷の苦境を乗り越えたあの頃。本展では、活気に満ちた当時を振り返りつつ、いま信楽で話題の作家たちを紹介し、新時代を予感させる「うつわ」を提案する。

 主な出展作家は、日根野作三、熊倉順吉、八木一夫、鈴木治、鈴木茂至、大谷製陶所など。