EXHIBITIONS
生誕110年 香月泰男展
太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描いた「シベリア・シリーズ」により、戦後美術史に大きな足跡を残した香月泰男(1911〜74)。その画業の全容をたどる回顧展が練馬区立美術館で開催される。
山口県三隅村(現・長門市)に生まれた香月は、1931年に東京美術学校に入学し、自身のスタイルの模索を始めた。42年に応召し、復員した47年以降は、故郷にとどまって身の回りのありふれたものをモチーフに造形的な挑戦を繰り返した。
50年代後半、黒色と黄土色の重厚な絵肌に到達した香月は、極限状態で感じた苦痛や郷愁、死者への鎮魂の思いをこめて太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描き、「シベリアの画家」として評価を確立。「シベリア・シリーズ」は応召から復員までの主題を時系列に並べて紹介するのが一般的であり、そこでは同シリーズの持つ戦争と抑留の記念碑としての側面が強調されてきたと言える。しかし、実際の制作の順序は、主題の時系列とは大きく異なる。
本展は、ひとりの画家が戦争のもたらした過酷な体験と向き合い、考え、描き続けた道のりを浮かび上がらせるため、「シベリア・シリーズ」をほかの作品とあわせて制作順に展示する(途中、展示替えあり)。
戦争が遠い歴史となり、その肌触りが失われつつあるいま、自身の「一生のど真中」に戦争があり、その体験を個の視点から20年以上にわたって描き続けた、「シベリアの画家」の創作の軌跡に改めて迫る。
山口県三隅村(現・長門市)に生まれた香月は、1931年に東京美術学校に入学し、自身のスタイルの模索を始めた。42年に応召し、復員した47年以降は、故郷にとどまって身の回りのありふれたものをモチーフに造形的な挑戦を繰り返した。
50年代後半、黒色と黄土色の重厚な絵肌に到達した香月は、極限状態で感じた苦痛や郷愁、死者への鎮魂の思いをこめて太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描き、「シベリアの画家」として評価を確立。「シベリア・シリーズ」は応召から復員までの主題を時系列に並べて紹介するのが一般的であり、そこでは同シリーズの持つ戦争と抑留の記念碑としての側面が強調されてきたと言える。しかし、実際の制作の順序は、主題の時系列とは大きく異なる。
本展は、ひとりの画家が戦争のもたらした過酷な体験と向き合い、考え、描き続けた道のりを浮かび上がらせるため、「シベリア・シリーズ」をほかの作品とあわせて制作順に展示する(途中、展示替えあり)。
戦争が遠い歴史となり、その肌触りが失われつつあるいま、自身の「一生のど真中」に戦争があり、その体験を個の視点から20年以上にわたって描き続けた、「シベリアの画家」の創作の軌跡に改めて迫る。