EXHIBITIONS

エリック・セリテラ「Shared Spaces」

2022.01.08 - 02.26

エリック・セリテラ Ghosts of the Muse 2017 陶 H116.8×W61×D101.6cm

エリック・セリテラ Resilience 2014 陶 H58.4×W22.8×D15.2cm

エリック・セリテラ Weathered Solifleur 2016 陶 H7.6×W17.8×D17.8cm

エリック・セリテラ Remnants 2020 陶 H55.8×W45.7×D22.8cm

 現代美術 ⾋居では、エリック・セリテラの⽇本初個展「Shared Spaces」を開催している。2月26日まで。

 セリテラは1963年アメリカ・ニューヨーク州エレンヴィル⽣まれ。1985年イサカ⼤学にて芸術学⼠号を取得し、現在はノースカロライナ州チェペルヒルにて制作。これまでにアメリカを中⼼に、130回以上の展覧会に出展しているほか、メトロポリタン美術館やスミソニアン・アメリカ美術館、カーネギー美術館といった多くの美術館に作品が収蔵されている。

 セリテラの陶作品の、炭化した丸太や⾵化した⽊、森の天使と例えられる⽩樺のようなハイパーリアルな質感は、すべて⼿びねり、⼿彫りで形成される。セリテラは、アジアの茶⽂化の発展とそれが陶磁器に与えた影響に導かれ、千利休によって1500年代後半に広められた「侘び寂び」の哲学を作品に取り⼊れている。加えて、⼈間の無関⼼にもかかわらず、⾃然がいかに粘り強くその素晴らしさを維持し⽣存を勝ち得てきたかを作品に表現しようと試みており、陶という素材がもつ性質を⾃然環境の脆さと耐久性に重ね合わせている。

 また、「擬⼈化」はセリテラの作品を語る上で切り離せないもの。有機的な質感の作品のそれぞれにメタファーが込められており、擬⼈化された要素は、⾃然環境との相互作⽤や関係性から、時代を超えて切り離すことのできない⼈間性を表現している。そこには⾃⾝の作品を通して鑑賞者の環境に対する意識を⾼め、その⾏動にも影響を与えられるようにという意図が込められている。

「アートとは繋がり、共鳴、反響の場としての役割を果たすものであり、私の⼿によって語られる私の潜在意識の物語となるのです」と語るセリテラ。だまし絵のような陶作品は、素材の性質とそこに込められたメッセージの両⽅で⾒る者を魅了している。

 本展は、セリテラが2014〜21年に制作した陶作品計9点を展⽰。⼿びねりによる超現実的な造形から、作家の⾃然観や哲学を感じ取りたい。