EXHIBITIONS

DOMANI・明日2021-22 文化庁新進芸術家海外研修制度の作家たち

DOMANI plus @ 石巻「つまずきの庭」志賀理江子

旧観慶丸商店
2022.02.19 - 03.13

志賀理江子 Remember me 2019 © Lieko Shiga

旧観慶丸商店外観 © 旧観慶丸商店

 文化庁による新進芸術家海外研修制度の成果を発表してきた「DOMANI・明日展」。1998年からスタートし、第11回から第23回までは国立新美術館(東京)で年に1度のアニュアル展として催されてきた。途中からは「DOMANI・明日展 plus」などで地方会場やオンラインでの開催も加わり、次第に活動の幅を広めている。

 第24回を迎える今年度の「DOMANI・明日展」は、新型コロナウイルスの影響を受け、例年の国立新美術館での大規模展開催が難しく、今回は、従来から実現の機会を探ってきた地域展開に挑む。これまでの地方会場の「DOMANI・明日展 plus」シリーズを踏襲した中・小規模の企画展「DOMANI plus」、そして文化施設の自主企画に連動する特別プログラム「and DOMANI」を2021〜2022年にかけて5会場で展開していく。

 参加アーティストは、宮永愛子(京都府立図書館)、蓮沼昌宏(水戸芸術館)、村上友重+黒田大スケ(広島城二の丸)、大塚泰子、冨井大裕(愛知県美術館ギャラリー)、長島有里枝、古橋まどか(港まちポットラックビル3F、旧・名古屋税関港寮)、志賀理江子(旧観慶丸商店・宮城県石巻市)※()内は関連展示・企画展会場。

 2022年2月19日~3月13日には、アーティストの志賀理江子らが参加する、宮城県石巻市の旧観慶丸商店で展示「つまずきの庭」が開催される。

 志賀は1980年愛知県生まれ。ロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを卒業し、現在は宮城県を拠点に活動。2008年に宮城に移り住んで以来、写真というメディアとは何かを追求し、人間社会と自然の関わり、死の想像力から生を思考すること、何代にも溯る記憶などを題材に制作を続ける。主な受賞歴に、Tokyo Contemporary Art Award(2021〜2023)、第35回東川賞国内作家賞(2019)などがある。

 東日本大震災から10年。震災復興の過程で、ならされてゆく東北の姿に、近代社会がいかに人々の精神を抑圧してきたかを見た志賀は、本展「つまずきの庭」において「復興」の意味を再考することを促す。

 本展には、志賀とともに、宮城を拠点とするグループ・PUMPQUAKESのメンバーであり、メキシコ・オアハカのアートシーンをリサーチしてきたキュレーターの清水チナツが参加。また会期中には、郷土芸能「浦浜念仏剣舞」「金津流浦浜獅子躍」の踊り手も担う、振付家の磯島未来を迎えたワークショップも行われる。

 なお「DOMANI・明日展」のウェブサイトでは1998〜2021年開催のアーカイヴも公開中。「DOMANI plus」そして新たな枠組みとなる「and DOMANI」の詳細・最新情報とあわせてチェックしてほしい。