EXHIBITIONS

福岡道雄

つくらない彫刻家

2017.10.28 - 12.24

福岡道雄 飛ばねばよかった 1965-66 作家蔵 撮影=椎木静寧

福岡道雄 飛ばねばよかった 1965-66 作家蔵 撮影=椎木静寧

福岡道雄 Pinkの残影又は黒の降下 1972 作家蔵 撮影=福永一夫

 大阪を代表する彫刻家、福岡道雄の、美術館では初となる大規模な個展が行われる。

 福岡は1936年堺市生まれ。戦時中を中国の北京、終戦後の少年時代を滋賀県で過ごし、大阪市立美術研究所の入所を機に彫刻制作を本格化させた。地中で生まれる不定形な彫刻《SAND》や、地面を散らばる《奇蹟の庭》など、彫刻らしさを疑問視する最初期の作品群で早くから注目を集めた。

 1960年代は反芸術的な傾向を強く持ち、作家の生活感情を濃密に反映させた作品群を発表。70年代以後は時代の流れに背を向け、《風景彫刻》や《文字》などの作品を黙々と制作した。

 異なるかたちの作品を手がけながら、一貫して「つくること」のあり方を問い続けきた福岡だが、2005年に《腐ったきんたま》と題した彫刻群を発表し「元・彫刻家」ならぬ「つくらない彫刻家」となることを宣言して制作活動に終止符を打った。

 本展では、彫刻家を志した50年代から現在にいたるまで、60余年にわたる制作の軌跡を紹介。展示室に浮かぶ、およそ50個の風船彫刻《ピンクバルーン》や同じつぶやきを刻み続けた「文字」シリーズなどが一堂に集結する。