EXHIBITIONS

武蔵野市平和の日条例制定10周年記念事業

大石芳野写真展 瞳の奥に-戦争がある-

大石芳野 壊れた窓からのぞく少女 コソボ、1999 ©︎ Yoshino Oishi

大石芳野 ジャン アフガニスタン、2003 ©︎ Yoshino Oishi

 武蔵野市立吉祥寺美術館は、武蔵野市平和の日条例制定10周年記念事業として、「大石芳野写真展 瞳の奥に-戦争がある-」を開催している。

 大石は、戦禍や内乱など困難な状況にありながらもたくましく誇りをもって生きる人々、土着の文化や風土を大切にしながら生きる人々を主なテーマに撮影を続ける写真家。約40年あまりにわたり、戦争の犠牲になった人々を取材し、悲惨な傷跡に苦しむ声に向き合いレンズを向けることで、平和の尊さを問い続けた。著作に『沖縄に活きる』『夜と霧は今』『HIROSHIMA半世紀の肖像-やすらぎを求める日々』『カンボジア苦界転生』『ベトナム凜と』『子ども戦世のなかで』『福島FUKUSHIMA 土と生きる』『戦争は終わっても終わらない』『戦禍の記憶』『長崎の痕』ほか。土門拳賞、エイボン女性大賞、紫綬褒章、JCJ賞などを受賞。

 本展では、戦禍にいまなお苦しむ世界の子供たちや、子供の頃に戦争を体験した武蔵野市内在住の7人と、戦争の犠牲になった国内の人々の姿をとらえた写真77点を展示している。

 大石は、被写体の内面を写し出したいときにモノクロームを選択することが多いと言う。枯葉剤、不発弾、虐殺、破壊、民族浄化、紛争。ベトナム、ラオス、カンボジア、アフガニスタン、コソボ、スーダンと、子供たちの真剣で鋭い瞳が伝える、「戦争はもう嫌だ」というメッセージが作品を通して多くの人に届くよう願いが込められている。