ユゥキユキ×平山匠「三すくみんぐ」

　アーティスト、ユゥキユキと平山匠による2人展「三すくみんぐ」が元映画館で開催される。

　ユゥキと平山は、「ゲンロン新芸術校」第5期の成果展で金賞を受賞。どちらも、しかし異なる方法で「2者関係」をモチーフに制作を行ってきた。

　ユゥキは静岡県出身。東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻（壁画）修士課程修了。同大学院博士後期過程に在籍中。コスプレ、アイドル、BLなどのオタクカルチャーに関わりながら、自分と社会、虚構や現実といった境界領域に存在する人間の「欲望の受け皿」をテーマにし、様々な表現方法を用いて表現している。

　平山は1994年東京都生まれ。東京造形大学彫刻専攻卒業。東京藝術大学大学院美術教育研究室修了。自己と他者のあいだに存在する様々な「違い」や「領域」をテーマに、陶や粘土を使ったオブジェからなるインスタレーションを主に制作し、言語領域を超越したコミュニケーションを可能とする美術表現を追求している。

　ユゥキは前作において、自らが囚われている共依存的な「母／娘」関係のなかに「男装コスプレ同士のBL」を挿入することで、閉ざされた2者関係の解体を試みた。いっぽう平山は、自閉症の兄が創作した物語を彫刻化することによって、2者関係の本質的な理解に迫った。

　それぞれが抱える2者関係をめぐって別々の方向へ歩んでいた2人が、「3すくみ＝3者関係」へとたどり着き、ひとつの展覧会をつくる。

　ユゥキは、「生殖」の問題を取り上げ、種としての人間を相対化する「3者関係による生殖」という思考実験に踏み込む。そして平山は、カレル・チャペック、ヨゼフ・チャペック兄弟によるSF小説『R・U・R』にインスパイアされ、ロボットを生み出す兄弟（兄／ロボット／弟）の物語を創作する。