EXHIBITIONS

バーチャルの具体性

2021.05.16 - 06.03

「バーチャルの具体性」キービジュアル

ジャン=バティスト・ラングレ「COLLAGE-CITY」(Grande-Halle-de-La-Villette、パリ、2018)

シン・ダンウェン「disCONNEXION」(Convection)(Three Shadows Photography Art Centre、北京、2007)

 The 5th Floorでは、フランス人キュレーター、アレクサンドル・タルバによるグループ展「バーチャルの具体性」を開催する。

 本展は、「世界全体がバーチャルに向かっているように見える一方で、物質もまた増殖し続ける」という事実を前提に、デジタル時代の技術的な過剰生産によって引き起こされた生態学的・社会的危機と、新型コロナウイルス感染症拡大によって加速するデジタルの重要性を並行させ、デジタルゴミが仮想空間を支えるために現実の空間に侵入する一方で、労働者は劣悪な環境でポストモダンの装置全体を生産しているというバーチャルの倫理的な側面を浮き彫りにすることを試みる。

 参加アーティストは、バーチャルの複雑性と可能性を提示する7人、太湯雅晴、花岡美緒、石川雷太、ジャン=バティスト・ラングレ、松澤宥、ゾエ・シェレンバウム、シン・ダンウェン。

 本展のキュレーションを手がけるアレクサンドル・タルバは、パリ第8大学の美学の博士課程、国費研究生として東京大学総合文化研究科超域文化専攻表象文化論研究室で研究。研究テーマは「日本の戦後美術と映画における原爆の表象」。原子力時代禍の虚無、記憶そしてバーチャルに焦点を当て、これまでに、哲学者・田邊元の「原子力時代の恐怖」という概念と戦後日本の近代性をめぐる議論や、1960年代の政治運動が交錯する傾向を論じている。またジル・ドゥルーズ、ギュンター・アンダース、無政府主義哲学に影響を受け、戦後の平和活動と現代の反核運動、直接行動とオルタナティブ・アートシーンとの関係を歴史的視点から研究している。