EXHIBITIONS

高見澤ゆう

2021.04.25 - 06.20

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「高見澤ゆう 個展」より

「高見澤ゆう 個展」より

 東京・巣鴨のアーティスト・ラン・スペース「4649」で、高見澤ゆうの個展が開催される。
 
 高見澤は1990年生まれ。美術という現象における作品の価値そのものや、 芸術家の主体性について言及するような制作し、東京、ウィーン、ニューヨークなどでの展覧会に参加してきた。渡邊庸平との2人展(2018)では、作品運送用木箱に梱包された状態の《絵画、 輸送用木箱》を発表。void+eavesでのグループ展「study(group show)」(2021)においては、 ほかの出展作家の作品を梱包した状態のクレートとその作品に付属する作品証明書、作品の状態を確認するための検品用写真を展示した。
  
 こうした作家の試みは、オリジナリティの不/可能性について考察したうえで、アートオブジェクトとそれ以外の一般のオブジェクトでは何が異なり、どのように芸術として認識され(またはされずに)存在しているのかという問題への関心に基づいている。

 また高見澤の作品は、販売/輸送/保管による光の当たることのない暗闇のなかに存在する状況、あるいは誰からも鑑賞されることなく放置された無数の美術作品が、その作品のイメージとは無関係に乱暴に/暴力的に存在し続けていることを示唆している。

 本展は、レディメイドからペインティングに至るまでのアートと呼ばれるオブジェが、いかにして芸術と認識され得るのか得ないのかというアーティストの思索の発露として、いくつかのインスタレーションからなる。

 ギャラリー空間内には数点のオブジェとともに、台座にのった大型洗濯乾燥機を設置。それを監視するように置かれたネットワークカメラには前日のギャラリー閉廊後から当日の開廊時までの様子が録画され、洗濯乾燥機と向かい合うように掛けられたモニター画面にその様子が映し出される。

 本展は、アート作品のオブジェとしての存在論について検証すると同時に、恣意的な事物や対象としてのアートとそのオリジナリティの(不)可能性を考察する。