EXHIBITIONS

田原桂一 表現者たち –白の美術館–

アンドレ・マッソン 1981 撮影=田原桂一

ヨーゼフ・ボイス 1981 撮影=田原桂一

クリスチャン・ボルタンスキー 1979 撮影=田原桂一

ラウラ・ベッティ 1987 撮影=田原桂一

「光」というテーマを探求し続け、フランスを中心に世界的に活躍したアーティスト・田原桂一。その展覧会「田原桂一 表現者たち –白の美術館–」がポーラ ミュージアム アネックスで開催される。

 田原は1951年京都府生まれ。71年に渡仏し、そこで出会った日本の柔らかい光とは違う、ヨーロッパの刺すような鋭い光に衝撃を受け、写真家として活動を始める。以降、2006年までパリを拠点とし、光をテーマに制作を行った。

 77年に「窓」シリーズがアルル国際写真フェスティバル大賞を受賞し、一躍世界的な脚光を浴びると、日本、ヨーロッパで数多くの展覧会を開催。その後、木村伊兵衛写真賞、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ、パリ市芸術大賞など数多くの賞を受賞。表現方法は写真にとどまらず、彫刻や映像、インスタレーションなど、様々な領域にわたった。

 また田原は、カルティエ、ドン・ペリニヨンなど世界的ブランドのブランディング・コンサルタントとして数多くの広告・企画を手がけた。17年にはプラハ国立美術館にて、舞踊家・田中泯を被写体としたシリーズ「Photosynthesis1 978-1980」の大規模な展覧会が開催。2020年3月まで放送された株式会社ポーラ提供の番組『白の美術館』(テレビ朝日)では番組の企画から携わり、放送開始の2017年4〜6月まで出演した表現者たちのポートレイト撮影を担当した。

 本展では、画家のアンドレ・マッソンやヨーゼフ・ボイス、クリスチャン・ボルタンスキーら世界的な巨匠の「ポートレート」シリーズ(1978〜87)を中心に、最後に手がけた「白の美術館」での表現者たちを撮影した作品を展示する。

 田原にとってポートレートを撮影することは、たんなる肖像写真ではなく、その人物の瞳の奥に秘められた想いや気配などから放たれる「Lumière(光・知識・啓示)」までをも掴み取ることだった。田原の作品は、自らが発する者だけが「表現者」ではなく鑑賞者も含め、「Lumière」を共有する者すべてが「表現者」であると強く感じさせる。