EXHIBITIONS

小野祐次「Luminescence」

2021.04.24 - 06.19

小野祐次  Luminescence 20 2005

大判カメラを使用した撮影の様子

小野祐次 Luminescence 12 2002

小野祐次「Luminescence」(シュウゴアーツ、東京、2021)展示風景より 撮影=武藤滋生

小野祐次「Luminescence」(シュウゴアーツ、東京、2021)展示風景より 撮影=武藤滋生

小野祐次「Luminescence」(シュウゴアーツ、東京、2021)展示風景より 撮影=武藤滋生

小野祐次「Luminescence」(シュウゴアーツ、東京、2021)展示風景より 撮影=武藤滋生

 写真家・小野祐次の個展「Luminescence(ルミネソンス)」が開催。シュウゴアーツでの個展は2018年以来、約3年ぶりとなる。

 1980年代よりパリを拠点に活動を続ける小野は、長い海外生活のなか、様々な美術館や建造物を幾度となく訪れては、体感的に幅広い美術史の様式や歴史的背景の該博な知識を構築してきた。それら古今東西の芸術と写真を照らし合わせ、「光で描かれた二次元の像である写真でしか成し得ない表現とは何か」という命題のもとに制作を続けている。

 前回の個展「Vice Versa – Les Tableaux 逆も真なり− 絵画頌」での「タブロー」シリーズは、16世紀から印象派までの有名無名の絵画を自然光のもとで作品の反射光を生かして撮影することで、主題、色彩、構成などの要素を後退させたいっぽう、絵画そのものを光へ還元するという逆説的な考えによって導き出した。

 本展で発表する「ルミネソンス」のシリーズにおいては、ヴェルサイユ宮殿やシャンティイ城、またパリの礼拝堂などに吊り下がるシャンデリアを対象に、自然光ではなく人工的な光を用いて撮影。薄暗い時間帯に光源からの光を受け、闇のなかで燦然と発光するこれらクリスタルの塊に対して、大判カメラを持った小野は光の採集者となり、人間の視覚的なピントではとらえらない三次元的な光の細部までをフィルムに焼きつけた。

 パリのアトリエで自ら手焼きした大判のプリントは、きめ細かい粒子による滑らかな地肌のうえに豊かな陰影のトーンを現し、光の現象そのものが写真の役割を果たしていることを証明すると同時に、作品の成立要件であるという小野の写真哲学を見事に反映している。

※シュウゴアーツは6月1日より営業を再開し、本展の会期を6月19日まで延長(ただし会期中の土曜日のみ、東京都の要請に従い予約制)。詳細・最新情報は公式ウェブサイトへ。