EXHIBITIONS

特別展示

画家・岡本唐貴の誕生 100年記念

2020.11.14 - 12.20

岡本唐貴 海と女 1926

岡本唐貴 第2回プロレタリア美術大展覧会 ポスター 1929

岡本唐貴 夜の静物 1921 岡山県立美術館蔵

岡本唐貴 小林多喜二の像 1933

岡本唐貴 多喜二の母 1949 個人蔵

 大正〜昭和にかけて活動した洋画家、岡本唐貴(おかもと・とうき)の活動を紹介する特別展示「画家・岡本唐貴の誕生 100年記念」が開催されている。

 岡本は1903年岡山県倉敷市生まれ。画家を志し、20年に郷里・倉敷から神戸へ、さらに東京に移り住む。22年制作の《夜の静物》で第3回中央美術展に初入選し、翌年には第10回二科展に初入選するなど、画家として順調な一歩を踏み出す。

 岡本が画家として歩み出した大正期後半は、海外から流入した新しい美術の影響で、様々な前衛美術運動が日本で起こっていた。若き画家はこれらの運動に参加して画風を目まぐるしく変え、ついには既成の芸術を否定するダダイズムに行き着き、絵画の制作を一時放棄。画家としての自己否定に悩んだ末、「絵画の新しい生命力の回復」を目指し、25年に仲間と「造型」を結成して、《海と女》など量感豊かで生命力にあふれた人物像を描く。

 また、労働者階級(プロレタリア)による労働争議や社会主義運動が盛んになるなか、岡本はこれらの動きが新しい時代をつくり出すと考え、プロレタリア美術運動に参加。しかし弾圧により運動の停止を余儀なくされ、戦時中に岡本は仲間とともにデッサンや美術史研究に努める。そして敗戦の翌年に「現実会」を結成し、民主主義時代の新しいリアリズムを提唱していくこととなる。86年没。

 岡本の画家としての出発点から今年で100年を記念し、本展ではプロレタリア美術運動の指導者として日本の美術史上に特異な位置を占める岡本の大正期から晩年までの作品を展示。倉敷市立美術館の収蔵品を中心に同時代の美術や資料を合わせて紹介し、時代とともに歩んだ画家・岡本唐貴の足跡をたどる。