田中健太郎「地点」

　イラストレーションからアートワークまで、幅広いフィールドで活動するアーティスト・田中健太郎の個展「地点」がhpgrp GALLERY TOKYOで開催されている。

　田中は1977年滋賀県生まれ。雑誌や広告、書籍などへのイラストレーション、企業やブランドとのコラボレーションによるプロダクト制作、空間演出、壁画やライブペインティングなど、様々なプロジェクトに携わりながらも国内外での個展での作品発表、アートを身近に楽しめるワークショップなども定期的に実施している。

　静寂をつくり出すかのようなあいだの遊びと、点と点とを紡ぐように繊細なレイヤーを重ね合わせた画面展開を特徴とする田中。凛としながらもどこか哀愁を漂わせる動植物たちを描き出している。

　本展では2020年に制作した新作を発表。広大な風景のなかにふと立ち現れたかのように描かれる生命は、それらがどこに存在し、どの地点に向かっていくのかと、見る人の想像に委ねる貫禄を持ち合わせるかのようである。

「自分が感じているものは何なのか？ 描きながら、自分の身体に染み込んだカタチにならない想いを探すところから展覧会は始まりました」と語る田中の作品を鑑賞することは、作品の目の前に立つ自分自身と向き合うきっかけとなるだろう。