EXHIBITIONS

小林万里子「背負うなら太陽だけでいい」

by KOTARO NUKAGA

2020.11.03 - 11.22

小林万里子 熱と水 2018-2020

小林万里子 背負うなら太陽だけでいい 2020

小林万里子 toki toki 2019

小林万里子 思考は風に乗る 2020

小林万里子 メモリーズ 2020

 CADAN有楽町はオープン以来初となる、CADANメンバーギャラリーによる企画展をスタート。第1弾では天王洲に拠点をもつKOTARO NUKAGAの企画で、⼩林万⾥⼦の個展「背負うなら太陽だけでいい」が開催される。

 小林は1987年大阪府生まれ。多摩美術大学テキスタイルデザイン専攻、2012年同大学院修了。一貫して「生命の循環」を制作テーマに、染める、編む、刺すといったテキスタイル技法を用いて多様な素材を組み合わせ、世界に存在する様々な結びつきを表してきた。

 本展では、3×5メートルの⼤型作品《熱と水》のほか、⽴体8点を含めた新作を中⼼に23点を発表する。

 新作のひとつ《熱と水》では、山をモチーフに自然界の生態系のサイクルを表現。太陽や雨、土、空気という身近にありながら、生きていくために不可欠な「熱と水」という大きな存在をエネルギーに生死の連鎖を繰り返す動植物と、それらを見ている私たち人間の内面にも「熱と水」のエネルギーと循環のサイクルがつながっていること、さらに自然を人間が富のために開拓してきた事実をも思い起こさせる作品となる。

 展覧会タイトルにもなっている《背負うなら太陽だけでいい》は、ロバをモチーフにした作品。人の荷物を背負って生きるロバの過酷な一生とともに、自ら背負えない重荷をロバに背負わせてまで、人は何をどこまで運ぼうとしているのか、人間の生き様や本当に大切にすべきことについて見る者に考えさせる。これら作品がもつ魅力とそこに込められた思いを、素材一つひとつを丁寧に扱う作家の手の痕跡とともに感じ取りたい。

 本展の会期中にはアーティスト・トークも開催。なおCADAN有楽町では今後、展覧会を3週間ごとに替え、各ギャラリーの個性、そしてアーティストたちの多様な表現に次々とふれることができる場として展開していく。