吉田有紀「Look for the Silver Lining」

　吉田有紀の個展「Look for the Silver Lining」がeitoeikoで開催中。会期は10月31日まで。

　吉田は1971年神奈川生まれ。97年多摩美術大学大学院修了。2000年に五島記念文化財団新人賞によりスレード・スクール・オブ・ロンドンに学ぶ。両親ともに現代美術作家であった家庭で素養を育みながらも、吉田は日本画という領域を研究することにより別の角度から美術と美術史を検証し、視覚芸術の分野を探求。線や円、平面や立体といった美術における原始的な構造を見直す手法によって、自身の芸術観を表してきた。

　展覧会タイトルの「Look for the Silver Lining」は、不況にあった1920年アメリカでミュージカルのために発表された同名楽曲に由来。歌詞では、逆光のなかで銀色に浮かぶ雲の輪郭を希望の兆しととらえており、先の見えない時代の曲が現在の状況に響く。

　本展ではこの楽曲からインスピレーションを受けた六角形の平面作品と立体作品を展示。会期中の10月25日には、同曲の生演奏も予定している。