EXHIBITIONS

ミヤ・アンドウ

2020.06.02 - 07.11

展示風景

ミヤ・アンドウ Kumo(Cloud)October 3.3.5 2018

ミヤ・アンドウ Alchemy(Shou Sugi Ban)1.20.12.12.1 2020

展示風景

展示風景

 アメリカと日本のふたつの異なる文化を昇華し作品化するアーティスト、ミヤ・アンドウの個展がMAKI Galleryのウェブサイト内ビューイングルームにて公開される。

 アンドウは1973年カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。カリフォルニア大学バークレー校で東アジア学の学士号を取得。イェール大学で仏教に関する図像学を学んだ後、岡山県の金工師に師事して技術を習得する。

 アンドウは、仏教的な世界観と日本の伝統的な自然観を込め、鉄やアルミ、木など様々な素材を用いた抽象的な絵画や彫刻、インスタレーションなどを制作。アメリカ人と、備前刀匠の末裔である日本人を両親に持ち、幼少期を北カリフォルニアの田舎と、母方の祖父が住職を務めていた日本の寺院とを行き来して過ごしたことは、アンドウの制作に大きく影響している。

《Kumo(Cloud);雲》は、仏教の教えからインスピレーションを得た作品。アンドウは、万物はつねに流転し、同じ状態をとどまるものではないという「諸行無常」を象徴するもののひとつとして、様々な雲を金属の板にレーザーを使って描き出した。確固たる存在感のある物質である金属にあるかないかも定かでない雲を描き、まったく異なる性質の存在をひとつに融合させている。

 また「Shou Sugi Ban;焼杉板」シリーズでは、日本に古くから伝わる木材の腐食を避けるための「焼杉」の方法を作品に使用。まっ黒に焼けた木材に硝酸銀をかけて光の反射面をつくり出し、光と闇のグラデーションによって、ここでも相反する性質をひとつの作品のなかで表現している。

 こうして2つの相対するもの、ときには矛盾するであろうこともひとつになり得ることを確信し、制作のコンセプトとしてきたアンドウ。ひとつ高い視点から見れば物事は融合する可能性があること、そして、伝統と現代、産業と自然、東洋と西洋を巧みに組み合わせ、芸術を通して人ともののつながりを探求している。

 本展では、アンドウの世界観を代表する「Kumo(Cloud)」シリーズと、 日本の古い伝統的な技法を作品に生かした「Shou Sugi Ban」シリーズをギャラリーウェブサイト内ビューイングルームにて紹介する。