EXHIBITIONS

one's behavior

森栄喜、ヨーガン・アクセルバル、松下まり子、井原信次

2020.01.14 - 02.29

井原信次 Phillipp 「Love Your Neighbor」シリーズから 2019 © Shinji Ihara Courtesy of KEN NAKAHASHI

井原信次 机に置かれたGeorgeのドローイング 「Love Your Neighbor」 シリーズから 2019 © Shinji Ihara Courtesy of KEN NAKAHASHI

松下まり子 床にならべられたドローイング作品 2019 © Mariko Matsushita Courtesy of KEN NAKAHASHI

森栄喜 「Family Regained」シリーズから 2017 © Eiki Mori Courtesy of KEN NAKAHASHI

ヨーガン・アクセルバル Untitled / wilted by time / Polaroid 242 2017 © Jörgen Axelvall Courtesy of KEN NAKAHASHI

 KEN NAKAHASHIでは2020年の第1弾として、井原信次、松下まり子、森栄喜、ヨーガン・アクセルバルによるグループ展「one’s behavior」を開催。「one’s behavior」は作家4名の作品群が持つ共通のテーマそのものを指すだけでなく、自他を理解し愛そうとする姿勢や精神をも標榜し、何層にも重なった思いやコミュケーションの熱の源泉となる、瞬間ごとの振る舞いを意味する。

 愛する人や友人、自画像など、ポートレートを主に描いてきた井原は、本展では、旅を通して出会った人についての回想文やその人々にまつわる写真、紙袋などに描いたドローイングを組み合わせた「Love Your Neighbor」シリーズの一部を発表。性愛や生きる痛み、自然/原我との対話、各地の神や死生観に興味を持って制作を行う松下は、日記のように自身の日々の感情や記憶を蓄積した作品群から、穏やかな時期に描いたドローイングを展示する。

 森はこれまで、自らの体験や感情を交えた「詩」の朗読を通じて、LGBTをはじめとする多様性のあり方について自身が体感する「問い」を投げかける写真作品を発表。本展では、家族をテーマにした《Family Regained》から生まれた、真っ赤な写真のなかに溶け込むように現れる「拡大家族」とはコントラストをなす、「個の肖像」を象徴する未発表のモノクロ写真を公開する。

 そして、写真を通して自身のセクシュアリティをオープンにしていくまでの記憶を回想し、理解することにつなげてきたアクセルバルは、本展では、友人や花を被写体にした新作と昨年11月の個展で発表した短編物語「And I reminisce」の続編の序章を見せる。

 本展は4人のドローイングや写真作品とともに、日々の思考の軌跡で紡ぎだした散文、詩、物語などの言葉を、張り巡らされた関係性の網目としてギャラリーの空間で同時に抱え込む。そうして、多層的な始まりや複数の個が持つ独自の意識、声によるポリフォニーの発生を試みるという。