EXHIBITIONS

袴田京太朗「循環しないレモンイエロー」

2019.10.19 - 12.22

袴田京太朗 左から《ホワイトワックスバッテリー》、《レモンイエローエフェクト – 走る女1,2》(ともに2019) 撮影=加藤健

袴田京太朗 レモンイエローエフェクト – 走る女1,2 2019 撮影=加藤健

袴田京太朗 ホワイトワックスバッテリー 2019 撮影=加藤健

 1994年の開館より国内外の現代美術作品を紹介してきたカスヤの森現代美術館。今年の開館25年記念の一環として、多様化する立体表現のなかで「彫刻とは何か」を問い続け、様々なアプローチを試みる彫刻家・袴田京太朗を迎えた展覧会を開催する。

 袴田は1963年静岡県生まれ、87年武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。近年は「複製」をテーマに、既製品の一部にカラフルなアクリル板を重ね合わせた人型のシリーズなどを制作している。主な受賞歴に第22回タカシマヤ文化基金タカシマヤ美術賞(2012)、平成24年度静岡県文化奨励賞(2012)。現在、武蔵野美術大学教授。

 本展では、同館のコレクションであるヨーゼフ・ボイスの作品《カプリ・バッテリー》(1985)と、袴田が同作品をモチーフとした新作を展示し、立体表現の可能性を探る。

《カプリバッテリー》は、黄色で着色した電球とレモンをソケットで結合させた作品。レモンの酸を利用して微弱な電流を発生させるレモン電池と同様の仕組みで、ボイスは「レモン=食材」という先入観を排除し、シンプルな表現で目に見えないエネルギーを気づかせることをねらいとした。

 袴田は本展で、「ボイスの方法論を積極的に誤読し、何か未実験の化学変化のようなものが起こせないか」という考えを起点に、ボイスの造形や方法論の複製を試みる。また《カプリバッテリー》をかたちづくるレモン、電球、黄色といった、自身の制作と共通する点に着目し、自身の素材とイメージの問題を改めて掘り起こすという。

 なお初日19日14:00より、栃木県立美術館 シニア・キュレーターでドイツ美術およびボイスの研究者でもある山本和弘との対談が予定されている。