保坂毅「よいこは早く寝なさい」

　保坂毅はこれまで、「プライマリー・フィールドII」（神奈川県立近代美術館　葉山、2010）、「状況／判断」（アキバタマビ21、東京、2016）、「引込線2015」（旧所沢市立第2給食センター）などのグループ展に参加するほか、個展も継続的に開催し、精力的に活動するアーティスト。また、照明のないイベントでの展示や休館中の旅館で開催された芸術祭への出品など、一般的な展示空間とは異なる場所で試行錯誤しながら、制作を続けてきた。

　展示空間の壁面にマスキングテープで引かれたパースや、色彩で覆われた物体（オブジェクト）など、つねに壁を拠り所とする保坂の作品は、パースの奥行きや鮮やかな塗料の投射現象が壁に作用し、しばしば作品の背景に退く「地」としての壁とは異なった物質性を強調する。

　本展は、保坂の空間／場に対する新たなアプローチとして、消灯後のショーウィンドウというイレギュラーな展示空間で、蓄光塗料によって彩色された作品群を浮かび上がらせる。