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色彩の聖域 エルンスト・ハース ザ・クリエイション

エルンスト・ハース 火山、スルツェイ島、アイスランド 1965 〈ザ・クリエイション〉より Photo by Ernst Haas / Getty Images

エルンスト・ハース トバゴの波、カリブ海 1968 〈ザ・クリエイション〉より Photo by Ernst Haas / Getty Images

エルンスト・ハース 滝、九州、日本 1981 〈ザ・クリエイション〉より Photo by Ernst Haas / Getty Images

エルンスト・ハース 草を食べるインパラ、ケニア 1970 〈ザ・クリエイション〉より Photo by Ernst Haas / Getty Images

エルンスト・ハース 濡れた葉っぱ、ヴァーモント州 1969 〈ザ・クリエイション〉より Photo by Ernst Haas / Getty Images

 1950年代にカラー写真の表現を切り拓き、「色彩の魔術師」と呼ばれた写真家・エルンスト・ハース。1921年、ウィーンに生まれたハースは、47年にオーストリア人捕虜の帰還を撮影した《戦争捕虜の帰還》(『ライフ』誌、1949年掲載)でロバート・キャパに認められ、当時結成されたばかりの写真家集団「マグナム」に参加。当初はモノクロによるドキュメンタリー写真に取り組み、49年からは開発されてまもないカラーフィルムによる実験を開始した。

 当時のカラーフィルムは感度が極めて低く表現の自由度に欠けるものであったが、ハースは巧みな技術でその特性を生かした写真作品を制作。53年に『ライフ』誌に初めてカラーフォトエッセイが掲載されると、色彩あふれる写真は世界中の写真家に感動と希望を与えた。その後もヴェネチアの街やスペインの闘牛などをテーマに、次々と創造的で詩情豊かなカラー作品を発表。62年には、ニューヨーク近代美術館でカラー写真による個展を初開催した。

 本展は、71年に写真集として発表されたハースの最高傑作『ザ・クリエイション』より、厳選された21点を貴重なダイトランスファープリント(*1)で展示。『ザ・クリエイション』はキリスト教の旧約聖書「創世記」の冒頭に描かれる「天地創造」をテーマに、地球の誕生から四季の到来、生物の出現といった壮大な物語を美しくダイナミックにうたい上げた写真史上に大きな足跡を残す名作だ。

 現代においては一般化したカラー写真の真の意味を問いただすとともに、ハースの思想を感じさせる作品群を堪能したい。

*1ーーカラー写真を三色分解(イエロー、マゼンタ、シアン)し、染料を転写して製作されたカラープリント。深みのある色と豊かな階調表現を特徴とする。プロセスが複雑で作業に熟練を要し、コストも高いため、1995年以降、姿を消しつつある技法。