青野セクウォイア「Vital Beating」

　欧米を中心に、巨大な野外彫刻のパブリック・アートを多数手がける彫刻家・青野セクウォイアの日本初個展が開催される。

　青野は1982年イタリア出身。2005年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業、07年に同大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。ニューヨークを拠点に活動する。精緻な写実的表現を可能にする高い彫刻技術や、石材・木材・金属など幅広い素材を柔軟に扱った作品群。また燃やす、切断するといった実験的アプローチを加えた木彫作品などによって注目を集める。

　本展では、青野がおよそ10年間保管してきた黒大理石を使用した最新作のセルフポートレイト像《Sculpture of Liberty》を発表。最後の仕上げとして、立像を倒し、地面と衝突させることによって破壊するという手を加える。会場では、バラバラになった像そのものと、倒壊の瞬間を収めた映像などを展示予定だ。

　一見ネガティブなものにも思える、破壊によって彫刻を完成させるという行為。しかし青野にとっては、地面と衝突させる（＝重力を利用する）という自然の摂理を取り入れた工程は、彫刻という人為的な 「破壊」から遠ざかるための手段でもあるという。