EXHIBITIONS

project N 72

木村彩子

木村彩子 Miyazakidai 2 April 2018 Photo by YANAGIBA Masaru

 若手ペインターを取り上げる展覧会シリーズ「project N」の第72回では、一貫して植物をモチーフに描く木村彩子を紹介する。

 木村は1979年東京都出身。2003年東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒業、04年に同大学造形学部美術学科絵画専攻研究生修了。これまでの展覧会に「春夏秋冬と」(switch point、2006)、「sansaku nikki」(ギャラリー椿/GT2、2007)、「絵画の現在」(府中市美術館、2018)など。16年より、黒井千次の連載小説『あかりの湖畔』(『読売新聞』夕刊連載コラム)の挿絵を担当している。

 木村の制作は植物の「気になる」瞬間や風景を撮影することから始まり、写真をもとに素描した後、紙のような風合いになるようアクリル絵具で下塗りした綿布に直接色を置いて描いていく。一見水彩を思わせる透明感は、薄くのばした油絵具と蜜蝋によるもので、淡い色彩でありながら強さのある、独自の画面をつくり出している。

 本展では思い切って塗りつぶす、あるいは筆のストロークを重視するなど、より画面とのやりとりが増した新作を中心に展示する。