佐藤純也「1つ覚えて、8つ忘れる」

　佐藤純也は1977年宮城県生まれ、2000年多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。数年間にわたり、1日の最後に財布に残った小銭をキャンバスの上に広げ、痕跡を写し取るモノクロの絵画作品を定期的に制作してきた。02年より共同スタジオ「BOICE PLANNING」の運営に参加し、09年からは作家・批評家からなる「美術犬（I.N.U）」を始動するなどの活動も行う。

　本展では、佐藤が2〜30代で体験した、SNSの台頭期をモチーフとした作品群を展示。インターネット上で膨大に保管された画像から取り出された、日々の通勤や勤務中、休暇日の散歩や移動の途中で目にする些細な事象のイメージは特徴のないキャンバスや板、廃棄されそうな素材に描かれ、儚さを含みながら、今日では決して実現できない経験や光景を見せる。