EXHIBITIONS

岸田劉生展

―実在の神秘、その謎を追う

2018.07.21 - 09.02

岸田劉生 麗子肖像(麗子五歳之像) 1918 東京国立近代美術館蔵

岸田劉生 二人麗子図(童女飾髪図) 1922 泉屋博古館分館蔵

岸田劉生 髙須光治君之肖像 1915 豊橋市美術博物館蔵

岸田劉生 壺の上に林檎が載って在る 1916 東京国立近代美術館蔵

岸田劉生 静物(赤き林檎二個とビンと茶碗と湯呑) 1917 ふくやま美術館蔵

 38年という短い生涯で、西洋美術の新しい表現と日本の伝統美術と向き合い、日本近代美術史に大きな足跡を残した画家・岸田劉生。

 当初はゴッホやセザンヌなど後期印象派を思わせる表現で注目され、やがてデューラーやファン・エイクなど北方ルネサンスに目を向けた。時代に逆行するとの批判を浴びながらも、1915年には同志たちとともに草土社を結成。他の追随を許さない神秘性をはらんだ写実表現を追究し、長女をモデルにした麗子像への取り組みによって写実を超えた独自のスタイルを確立する。20年代には中国・宋元画の写実性に新たな境地を見出したほか、肉箪浮世絵の収集や日本画ヘの挑戦によって、その画域を大きく広げた。

 本展では、青年期の風景画から晩年の麗子像まで、劉生の代表作を含む優品約90点を一堂に紹介し、その生涯を振り返る。

 今年は劉生が長女・麗子を油彩で描き始めて100年目にあたる年。本展に並ぶ麗子像10点のなかでも最大となる、麗子が2人登場する不思議な作品《二人麗子図(童女飾髪図)》も見どころだ。