EXHIBITIONS

石元泰博・コレクション展 国東紀行

2018.04.03 - 06.03, 2018.06.05 - 08.05

石元泰博 臼杵大仏(大分) 1977年頃 © 高知県,石元泰博フォトセンター

石元泰博 臼杵大仏(大分) 1977年頃 © 高知県,石元泰博フォトセンター

 奈良〜平安時代にかけて、大陸より伝来した仏教に、宇佐八幡の八幡信仰(神道)を取り入れた「六郷満山(ろくごうまんざん)」と呼ばれる独自の神仏混習文化が形成された大分県北東部、国東(くにさき)半島。

 1976年頃、写真家の石元泰博は、雑誌『太陽』の仕事でこの地を訪れ、大陸より伝来してきた文化である自然の岩壁や露岩などに造立された磨崖仏(まがいぶつ)、切り出された石を素材にした石仏と、日本古来より伝わる山岳・岩に対する信仰が共存する、国東仏教美術を体感した。そこで、日本人は一体どこから来たのかという自らの問いをきっかけに国東半島での撮影に取り組む。

 当時、京都・東寺の伝真言院 両界曼荼羅の撮影を経て、仏像や曼荼羅に人間の生命観である「エロス」を見い出していた石元。国東半島の石造美術にも土着文化の荘厳さと力強い生命力を感じ、小さな茂みのなかにひっそりと立つ石仏にさえ花と茶碗の水が供えられている様子や、山裾の木立に佇むのっぺりとした表情の仏に、国東で感じた住民の素朴さや温かさを重ね合わせている。

 国東への興味は絶えず、写真集『日本の美 現代日本写真全集』の主題に選び、78年に『国東紀行』として(小学館)出版。丁寧に収められた写真は、かつての日本人が持っていた力強さや人間味をいま一度見直すべきという警鐘を鳴らした。

 本展では、写真集に掲載された作品を中心に、石元自身の手によるオリジナル・プリントを紹介する。