EXHIBITIONS

共同体について

2018.04.21 - 05.26

梅津庸一 高尾山にジャムを塗る、 セカンドオピニオン 2018

梅津庸一 高尾山にジャムを塗る、 セカンドオピニオン 2018

松浦寿夫 同じ、異なった葉  2018

フナイタケヒコ 「スペースプラン 5回展」(鳥取、1970)展示風景

 梅津庸一のキュレーションによるグループ展「共同体について」が開催される。

 梅津は1982年山形県生まれ。ラファエル・コランや黒田清輝、フェルディナント・ホドラー、ポール・ゴーギャンなどの近代絵画に自らを代入した自画像などを通して、近代美術史とその末尾に位置する自身の関係を探求してきた。2014年からは私塾 「パープルーム予備校」の活動を並行して、美術と教育、共同体のあり方について実践を通して批評考察を深めている。2018年3月に開催されたArt Basel Hong Kong 2018では、複数の様々な歴史の断片を召喚し、考察、検証するためのラボをイメージした空間を展開し、注目を集めた。

 本展では、幅広い年代の作家とそれぞれが引き連れてくる文脈、いわゆるこの世にいない過去の人物・事象をも巻き込んだ、多次元的な「共同体」を提示。梅津が高尾山で行ったパフォーマンスの映像作品などを公開するほか、画家でフランス美術史専門家の松浦寿夫、60年代後半から鳥取県の前衛美術家集団「スペースプラン」に所属するフナイタケヒコ、パープルームの日常をナビ派に重ねあわせて描いたアニメーションを発表予定の安藤裕美、さらに、インターネットを通じて多くの人が共有するキャラクター絵画などの文法を踏襲するユ、六萠、大谷石、粉末パテ、木材で人型の彫刻作品を制作する大野陽生、シェアハウス「渋家」から派生した「渋家分離派」が出品する。

 梅津は本展に寄せて、「それぞれの出展者たちが拠って立つ文脈や引き連れてくるものたちが絡み合ったり断絶したりすることによって現れる切断面にどのような融和や不和が認められるのか」とした上で「一番重要なのは、いまここにはいない他者、とりわけ死者や亡霊たちと天体的関係を結ぶことである」と言葉を寄せている。