EXHIBITIONS

橋口五葉のデザイン世界

2025.04.05 - 05.18
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橋口五葉による夏目漱石著作の装幀 個人蔵(千葉市美術館寄託ほか)撮影:上野則宏

 足利市立美術館で「橋口五葉のデザイン世界」が開催される。

 橋口五葉(1881〜1921)は、日本の書籍装幀や新板画の先駆者として知られている。1881年、鹿児島に生まれた五葉は1899年に上京、白馬会研究所を経て1901年に東京美術学校(現・東京藝術大学)で学ぶ。

 東京美術学校在学中に、兄である貢の紹介で夏目漱石と知り合い、1905年には漱石の小説家デビュー作である『吾輩ハ猫デアル』の装幀を手がけ、一躍注目を浴びる。漱石の信頼を得た五葉はその後も『三四郎』、『それから』、『門』をはじめとする数多くの著作の装幀を手がけていく。漱石のほかにも「日本の本をもっと美しくしたい」という想いのもと、泉鏡花をはじめとする日本近代文学を代表する様々な作家の装幀を手がけた。

 五葉は、新板画において新たな表現を追求した側面が強調されがちだが、三越のポスターをはじめとする商業グラフィックも手がけており、グラフィックデザイナーとしても数多くの仕事を残している。

 本展では、こうした橋口五葉のグラフィックデザインを、夏目漱石をはじめとする書籍の装幀を中心に紹介する。その後、府中市美術館、碧南市藤井達吉現代美術館、久留米市美術館に巡回する。