AdvertisementAdvertisement
EXHIBITIONS

Enrico Isamu Oyama_Torus

スクールデレック芸術社会学研究所
2024.01.25 - 03.10
 スクールデレック芸術社会学研究所で大山エンリコイサムの展覧会「Enrico Isamu Oyama Torus」が開催されている。

 大山は、ストリートアートの一領域であるエアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈した表現により、注⽬を集めるアーティスト。1970年代のニューヨークで始まったライティング⽂化に影響され、その特有の線の動きを抽出し、再構成することで⽣み出された独⾃のモティーフ「クイックターン・ストラクチャー」(QTS)を国内外で発表。作品制作と並行して、これまでに『ストリートアートの素顔』(青土社、2020)など複数の著作を刊⾏し、現代美術とストリートアートを行き来する研究や批評にも取り組む。近年では、MEET YOUR ART FAIR 2023「RE:FACTORY」のメインアーティスト/アーティスティック・ディレクターを務め、現代美術の領域を中心に活動の幅を広げている。

 大山は本展に際し、次のステートメント提示している。

「本展は、ふたつの思考のイメージが交差する地点に構想された。ひとつはスクールデレック芸術社会学研究所を主宰する、本展キュレーターの飯田高誉と私の個人的な対話だ。その頃ロシアによるウクライナ侵攻が開始され、その誘因のひとつに NATOの存在が指摘されていた。冷戦が生んだ世界構造の残響、いわば冷戦の亡霊が首をもたげたこの出来事から、飯田と私は、歴史の反復性のようなことを感じ取っていた。歴史は韻を踏む。時間はスパイラルのように、回転しつつ軌道をずらして進行する。そのイメージがまずあった。

 もうひとつは、本展会場であるスクールデレック芸術社会学研究所である。恵比寿の奥まった ストリートの一角にある路地の突き当たりのビル。その2階に位置する同所のオフィスとその横にある小ぶりな展示スペースは、通行人がランダムに立ち寄ることはなく、アポイント性の運営によって意思ある鑑賞者のみを受け入れる。広く公開する精神に代わり、ある種の閉鎖性がある。しかしサロン的ではない。その奥まった閉鎖性に私は、芸術や宗教の起源が隠された洞窟のイメ ー ジを抱いた。時間のスパイラルと起源の洞窟。これらを統合するモテーフが『トーラス(torus)』だ。

 二次元の円を三次元の方向に回転すると得られる二次元多様体のトーラスは、それ自体が円筒状に膨らんだ円、いわゆるドーナツのかたちをしている。スパイラルは二次元の円回転の軌道がずれて、三次元の方向に伸びていく開放系の立体回転だが、トーラスは単位となる二次元の円も、それを三次元の方向に回転する円も閉じたままの閉鎖系の立体回転である。前者が現実に生きられた歴史的な時間の反復を表象するなら、後者は洞窟のように外界から切り離された起源の反復を表象する」。