EXHIBITIONS

川田喜久治

ロス・カプリチョス –インスタグラフィ– 2017

2018.01.12 - 03.03

川田喜久治 雨のあと 2016

川田喜久治 雨のあと 2016

川田喜久治 溶けた標識 1978

 川田喜久治は、1956年の『週刊新潮』創刊からグラビア撮影を担当し、その後フリーランスとして60年以上にわたって写真を撮り続けてきた。敗戦という歴史の記憶を記号化し、メタファーに満ちた作品《地図》(1965)や、天体気象現象と地上の出来事を混成した黙示録的な《ラスト・コスモロジー》(1996)、都市に現れる現象をテーマにした《Last Things》(2016)など、意欲的な作品をいまなお発表し続け、日本のみならず世界でも高い評価を受けている。

 今回取り上げる「ロス・カプリチョス」は、72年に『カメラ毎日』での連載を皮切りに写真雑誌で散発的に発表された作品。幻想的銅版画集、ゴヤの『ロス・カプリチョス』に惑わされた川田が、そのイメージの視覚化に没頭し、スナップのような手法で、時に多重露光などの技法を用いて身近な日常風景、都市風景に不穏な影を落とし、現代に蔓延する社会不安から終末思想を体現させている。

 本展では、60年代〜80年代初めまで撮影され、これまで単独でまとめられることのなかった同作を未発表作品を含めて新たに再構成。2016〜17年に撮られた作品を加えて続編「ロス・カプリチョス -インスタグラフィ- 2017」とする。