友定睦 the mountain, drifting　山、漂流する

　呉市立美術館は、 地域社会の醸成を目指して呉市ゆかりの美術作家を支援する「地域の芸術家 支援事業」に取り組んできた。その第3回として開催する「友定睦 the mountain, drifting　山、漂流する」では、 兵庫県出身の現代美術作家、 友定睦（ともさだ・むつみ）が紹介されている。

　友定睦は広島市を拠点に活動するアーティスト。地域のリサーチから始まり、 映像や写真、3DCGなどのメディアを扱ったヴィデオ・インスタレーションの表現を展開。 近年は、古い文献に記された風景や地域の片隅に建つ記念碑などの不在性に着目し、様々な記録物の再構成によって失われたイメージの復興と歪みを表出させ、 現在地を新たな視点で描く方法を模索している。

　本展では、 呉市立美術館が建つ通称 「入船山」 を主題に、呉の歴史的変遷において重要なこの場所について問う新作を発表。入念な歴史的変遷のリサーチと呉に住む人々にインタビューを行うことによって、場の歴史的記憶と個人的記憶をとらえて共有する試みになっているという。