EXHIBITIONS

開館35周年記念特別展

初期伊万里・朝鮮陶磁

2023.01.15 - 03.26

染付 吹墨白兎文 皿 伊万里 江戸時代(17世紀前期) 戸栗美術館所蔵

青花 秋草文 瓶 朝鮮 朝鮮時代(18世紀前半) 戸栗美術館所蔵

 戸栗美術館が開館35周年記念特別展「初期伊万里・朝鮮陶磁」を開催する。

 朝鮮半島の技術が伝わり、1610年代に日本で初めて誕生した国産磁器・伊万里焼。なかでも初期の素朴な作風を「初期伊万里」と呼んでいる。

 戸栗美術館創設者の戸栗亨(1926〜2007)は「古伊万里のコレクションで日本一になる」という目標を掲げ、古伊万里の蒐集に邁進。「鑑賞陶磁」としては端正な作品が好まれ、色絵重視の風潮が強かった時代に、染付や白磁の、陶工達の手痕が感じられるような滋味あふれる初期伊万里も精力的に集めた。そして昭和40年代頃から20年ほどのあいだに江戸時代を通観できる充実した肥前磁器コレクションを築いた。

 古伊万里と対峙し、生前に「始まりというものは大事なものだ─、私はそういうところに愛着を感ずるんです」という言葉を残した戸栗は、また伊万里焼の祖である朝鮮の陶磁器に対しても親しみの眼差しを向けていた。戸栗美術館には、高麗青磁や粉青、鉄絵、白磁、青花など、少数ながら体系を意識した素朴な美しさの作品も収蔵されている。

 開館35周年記念特別展の締めくくりとなる今回の展覧会では、古伊万里の「原点」である初期伊万里の魅力を約80点の作品とともに紹介。さらに、戸栗の愛した朝鮮陶磁コレクション約30点も15年ぶりに一堂に会する。