EXHIBITIONS
ザ・トライアングル
藤田紗衣:仮想ボディに風
京都市京セラ美術館が新進作家を取り上げる企画展シリーズ「ザ・トライアングル」の今回は、「藤田紗衣:仮想ボディに風」を開催する。
藤田紗衣(ふじた・さえ)は1992年京都府生まれ。2015年ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに交換留学。2017年に京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻版画を修了し、現在は大阪府を拠点に活動している。
藤田は、ドローイングを起点に、シルクスクリーンやインクジェットプリント、コンピュータの画像加工ソフトを用い、版数の限定や地と図の反転、拡大など、自ら設定した制作上のルールに基づくイメージへの多面的なアプローチによって作品を制作。近年は、セラミックや書籍など、様々なメディアを自由に組み合わせることで、複製技術としての版画技法と一点もののオリジナルのミックスを試みている。
本展のタイトルにある「仮想ボディ」とは、活版印刷から写植に移行する過程で生まれた印刷用語だ。活版印刷では、金属の表面に活字が彫られ、この活字を囲む四角柱が物理的なボディとして存在していた。その後、コンピュータによりデジタル化され、自由に文字組みができるようになったことで、書体を設計するために存在していたこの基準枠は、実体を持たない「仮想ボディ」と呼ばれるようになった。
藤田は今回、現在では物理的には消失した「仮想ボディ」の在り方に着目するいっぽう、基準枠や定められたルールを超え、個人ではコントロールし切れない偶然性や不可抗力、自然現象を「風」にたとえ、そのあいだを行き来する自身の制作スタイルを重ね合わせる。
「ある空間にイメージを印刷した紙とセラミックを置いて数週間後に見に行くと、紙は数日前に降っていた雨のせいか、予想以上にフニャフニャになり、印刷されたイメージも紙とともにゆがんでいた。かたや、セラミックは設置した時と全く同じ姿だった。そこには紙は湿気を含んで変化し、焼き固められた陶は変化しなかったというあたりまえの物事が存在していた。これまでは、例えば湿気や重力などの物理的な制約や変化に作品を逆らわせようとしていたが、変わることと変わらないことが交わるその光景が魅力的に見えた気がした(藤田紗衣、ステイトメントより)」。
藤田紗衣(ふじた・さえ)は1992年京都府生まれ。2015年ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに交換留学。2017年に京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻版画を修了し、現在は大阪府を拠点に活動している。
藤田は、ドローイングを起点に、シルクスクリーンやインクジェットプリント、コンピュータの画像加工ソフトを用い、版数の限定や地と図の反転、拡大など、自ら設定した制作上のルールに基づくイメージへの多面的なアプローチによって作品を制作。近年は、セラミックや書籍など、様々なメディアを自由に組み合わせることで、複製技術としての版画技法と一点もののオリジナルのミックスを試みている。
本展のタイトルにある「仮想ボディ」とは、活版印刷から写植に移行する過程で生まれた印刷用語だ。活版印刷では、金属の表面に活字が彫られ、この活字を囲む四角柱が物理的なボディとして存在していた。その後、コンピュータによりデジタル化され、自由に文字組みができるようになったことで、書体を設計するために存在していたこの基準枠は、実体を持たない「仮想ボディ」と呼ばれるようになった。
藤田は今回、現在では物理的には消失した「仮想ボディ」の在り方に着目するいっぽう、基準枠や定められたルールを超え、個人ではコントロールし切れない偶然性や不可抗力、自然現象を「風」にたとえ、そのあいだを行き来する自身の制作スタイルを重ね合わせる。
「ある空間にイメージを印刷した紙とセラミックを置いて数週間後に見に行くと、紙は数日前に降っていた雨のせいか、予想以上にフニャフニャになり、印刷されたイメージも紙とともにゆがんでいた。かたや、セラミックは設置した時と全く同じ姿だった。そこには紙は湿気を含んで変化し、焼き固められた陶は変化しなかったというあたりまえの物事が存在していた。これまでは、例えば湿気や重力などの物理的な制約や変化に作品を逆らわせようとしていたが、変わることと変わらないことが交わるその光景が魅力的に見えた気がした(藤田紗衣、ステイトメントより)」。