谷口真人「Where is your ♡？」

　NANZUKA UNDERGROUND（2階）では、谷口真人の新作個展「Where is your ♡? 」を開催している。

　谷口は1982年東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻を修了。3DCGとプログラミングを組み合わせたインスタレーション、アニメーション作品、そして鏡を用いた箱式絵画を制作してきた。その多くの作品に、「＃親しみやすさ」「＃かよわさ」「＃儚さ」「＃Kawaii」といったキーワードを連想させるような存在があらわれ、これらは、感情移入を可能とするものとして谷口が仕掛けたもっとも重要なコードとも呼べるものだ。

　本展では、鏡を用いた箱式絵画の新作を発表。等身大の少女像にスケールを合わせた大型作品から、小型の作品まで約10点が展示される。

　谷口は、その創作活動を通して、人間の知覚認識に関するもっとも根源的な謎を追い求めているように見える。私たちは人間の存在をいかにして認知しているのか、共感や感情移入といった現象は姿かたちや容姿といった形態によるものなのか、あるいは認知とは精神性（心）によってなのか、その両方なのか、人によってその認識システムに差異があるのはなぜなのか。SNS、人工知能、VR、メタバースなどの登場により、コミュニケーションの方法、ルート、スピード、エリアが劇的な変化を遂げる現代において、谷口の作品はシンプルに、しかし、だからこそより一層深い意味を持って、私たちの「♡」はどこに存在しているのか、と問いかける。