EXHIBITIONS

スウェーディッシュモダニズムの巨匠

ウィルヘルム・コーゲ & ベルント・フリーベリ

2022.07.29 - 08.07

ウィルヘルム・コーゲ 左から《小鉢》(グスタフスベリミュージアム旧蔵)、《花器》(1953)、《鉢》(手前、1955)、《花器》(1958)、《鉢》(1958)

ベルント・フリーベリ 左から《ミニチュア花器》、《花器》(1964)、《ミニチュア花器》(1950年代)、《花器》(1970)、《花器》(1965)

ウィルヘルム・コーゲ 左から《テラ・スピレア》(1956)、《テラ・スピレア》(1950年代後半)、《テラ・スピレア》(1958)、《テラ・スピレア》(1950年代後半)

 しぶや黒田陶苑では、展覧会「スウェーディッシュモダニズムの巨匠 ウィルヘルム・コーゲ & ベルント・フリーベリ」が開催される。本展はギャラリー北欧器との共催。

「北欧工芸界の父」と称されるウィルヘルム・コーゲ(1889~1960)は、スウェーデン・ストックホルムで生まれ、国王およびスウェーデン工芸協会から唯一「プロフェッサー」の称号を得た人物だ。元々は画家であり、ポスターなどのデザイナーとしても著名だったが、スウェーデン工芸協会の推薦を受け、グスタフスベリ製陶所にアートディレクターとして招致された。日本の民藝運動などにも共鳴した作品は、それまでの過装飾的な西洋の陶磁器の趣向を脱却し、シンプルながらも斬新なデザインを生み出し、北欧モダンデザインの礎を築いた。

 いっぽうベルント・フリーベリ(1899〜1981)はスウェーデン・ホガナスで生まれた。13歳より作陶助手として働き始め、工芸学校に通いながらいくつもの窯を渡り歩き、ろくろ職人として下積み時代を過ごした。1934年、グスタフスベリ製陶所に入社。ウィルヘルム・コーゲに師事し、41年には製陶所内に自らの工房を設立した。生涯、数千に及ぶ器を自らのろくろで制作したフリーベリは、日本や中国、朝鮮の古陶磁から影響受け、フォルムや釉薬を追求した繊細で美しい作品を残した。高いろくろ技術を持ったフリーベリの助力は、師であるコーゲの作品の制作には不可欠であり、またフリーベリもコーゲから多大な影響を受けていた。

 スウェーデンのみならず北欧のモダニズムを切り拓いた師弟が共演する本展。いまなお世界で高い評価を得る2人の魅力的な作品を、会場で鑑賞してほしい。