EXHIBITIONS

初代 諏訪蘇山 没後百年記念展

―初代蘇山の遺した石膏型を次代へ―

初代 諏訪蘇山 青磁菊紋大香合 1921 撮影=大道雪代

「鯉」オリジナル石膏型を3Dスキャニングする様子 撮影=高野友実

 愛知県陶磁美術館で「初代 諏訪蘇山 没後百年記念展 ―初代蘇山の遺した石膏型を次代へ―」が開催される。共催は京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab。

 初代 諏訪蘇山(すわ・そざん、1851〜1922)は明治から大正時代に活動した陶芸家。加賀藩士の家に生まれ、明治維新後に九谷焼の陶画を学ぶと、その後は東京にて陶磁器製造業を営みながら、美術や化学の学理と最新の製陶技術を得たといわれている。九谷陶器会社、石川県工業学校(現在の石川県立工業高等学校)などを経て、1900(明治33)年に京都の錦光山宗兵衛の窯に招聘されたことをきっかけに移住。1907(明治40)年には五条坂に窯を開き、これまで以上に自らの制作に専念した。そして1917(大正6)年に帝室技芸員に任命された。

 蘇山の作域は広く、陶磁全般に及んだが、その中心は「青磁の蘇山」と高く評された青磁の制作だった。石膏型を用いた成形技法により、淡青色の美しい色調を持つ精緻な造形・装飾と、高い再現性(量産性)を両立させ、他の追随を許さない制作を実現した。

 愛知県陶磁美術館では2011年より、蘇山の工房に残された100年以上前の石膏型の基礎調査を実施。いっぽう2019年からは四代 諏訪蘇山と京都工芸繊維大学との協働で三次元測量が行われ、欠損や亀裂などの損傷をデジタルデータ上で補修し、デジタルファブリケーション技術を活かして、初代 諏訪蘇山の石膏型の復元再生に取り組んでいる。

 本展はその成果に基づきながら、作家の没後100年を記念して、青磁をはじめとした作品、石膏型や史料から蘇山の技と美を展覧。四代 諏訪蘇山と京都工芸繊維大学 KYOTO Design Labが進めている「初代 諏訪蘇山アーカイブ化プロジェクト」により再現された作品や復元プロセスも解説し、石膏型をいかに将来へ活かしていくべきか、その取り組みにも焦点を当てる。