ART WIKI

ブリティッシュ・ポップ・アート

British Pop Art

 ポップ・アートはアメリカより先にイギリスから始まった。スコットランドのアーティストのエドゥアルド・パオロッツィが1947年にアメリカの大衆誌やコミックのイメージをコラージュしたものがポップ・アートの先行事例である。52〜53年に、パオロッツィ、リチャード・ハミルトン、アレン・ジョーンズらアーティスト、批評家のローレンス・アロウェイ、建築家のコリン・セントジョン・ウィルソン、アリソン&ピーター・スミッソンが参加した「インディペンデント・グループ」(IG)は、ロンドンの現代芸術研究所(ICA) に集い、当時の支配的でエリート主義的な近代主義に対抗し、より大衆的な志向を目指して、その過程で「ポップ・アート」という言葉が生まれた。

 パオロッツィやハミルトンは、主にアメリカの大衆誌の写真や図柄を使ったコラージュ作品を発表。ハミルトンの《いったい何が今日の家庭をこれほどに変え、魅力あるものにしているのか》(1956)は、イギリスのポップ・アートらしさを代表する作品である。

 IGは、53年に「生と芸術との並行」展、56年に重要な契機となる「これが明日だ」展を開催。ここで「映画、サイエンス・フィクション、広告、ポップ・ミュージック」を、知識人たちにありがちな大衆文化を嫌うことなく、事実として受け入れ、話しあい、消費した、とアロウェイが語っている。

文=沖啓介

参考文献
ハル・フォスター『第一ポップ時代:ハミルトン、リクテンスタイン、ウォーホール、リヒター、ルシェー、あるいはポップアートをめぐる五つのイメージ』(河出書房新社、2014)
マルコ・リビングストーン、ウォルター・ガダニーニ『POP ART UK: BRITISH ART 1956-1972』(Silvana Editoriale、2004)
ルーシー・R・リパードほか『ポップ・アート』(紀伊国屋書店、1967)