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アンチ・フォーム
Anti-Form
ロバート・モリスが1968年に『アートフォーラム』誌で発表したテクスト名であるとともに、60年代後半のアメリカで興った偶然性や不確定性、制作のプロセスを作品に取り入れる美術の傾向を指す。具体例として、68年前後のモリスの一連の作品が挙げられる。68年の《無題(タン・フェルト)》は、9本の細長いフェルトを吊り下げた、また床に撒き散らしたように見える作品で、重力に任せた流動的で一過性の形態を持ち、作家自身は最終的な作品の見かけのコントロールを手放している。こうした傾向は、リチャード・セラ、アラン・サレット、バリー・ル・ヴァといった同時代の作家たちにも見受けられ、ポスト・ミニマリズムとも関係づけられる。
モリスは、「幾何学的で、際立って矩形であるような形態」のミニマリズムに対して、「ランダムな積み上げ、いい加減な重ね置き、吊り下げ」などを特徴とするこうした傾向について、「事物に対してあらかじめ構想され耐久性のあるような、そうした形態やオーダーに関与しないことは、ひとつの積極的な主張である」と述べている。
また、ロザリンド・E・クラウスは、この傾向をモリスのように重力の力との関連にとどまるものではなく、「ごみくずや乱雑さやもつれといった主題系」としてより広い射程でとらえ、「アンフォルム」の「水平性」の議論を展開した。
モリスは、「幾何学的で、際立って矩形であるような形態」のミニマリズムに対して、「ランダムな積み上げ、いい加減な重ね置き、吊り下げ」などを特徴とするこうした傾向について、「事物に対してあらかじめ構想され耐久性のあるような、そうした形態やオーダーに関与しないことは、ひとつの積極的な主張である」と述べている。
また、ロザリンド・E・クラウスは、この傾向をモリスのように重力の力との関連にとどまるものではなく、「ごみくずや乱雑さやもつれといった主題系」としてより広い射程でとらえ、「アンフォルム」の「水平性」の議論を展開した。
参考文献
ロバート・モリス「アンチ・フォーム」石岡良治訳、『であ、しゅとぅるむ』(筒井宏樹編、Review House編集室、2013)
イヴ=アラン・ボワ、ロザリンド・E・クラウス『アンフォルム:無形なものの辞典』(加治屋健司、近藤学、高桑和巳訳、月曜社、2011)