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GUN

ガン

 1967年に新潟で結成された前衛美術のグループ。メンバーは前山忠、堀川紀夫、市橋哲夫ら。グループの名称は「がーんと一発」の「がん」、「眼」、「癌」、「銃(GUN)」に由来する。結成当初の正式名称は「新潟現代美術家集団GUN」だったが、71年に「NIIGATA GUN」、その後「GUN」のみの表記に改称された。結成当時のマニフェストでは「新しい運動のエネルギーの結集」を謳い、新潟の美術界の危機的現状に警鐘を鳴らしたうえで「全県的な連帯を持って個々の創造的活動を生かし、全国の新しい波に合流していく時である」と宣言した。

 67年12月に長岡文化会館で創立展覧会を開催。同月、新宿の椿近代美術画廊でグループ展を行い東京進出も果たす。展覧会のみならず、シンポジウムの企画、発言紙の発行、ハプニングの開催などを積極的に行ったのもGUNの特徴である。70年には新潟県十日町で、ランド・アートの一種とも言うべき《雪のイメージを変えるイベント》を実施する。雪で覆われた大地に原色の顔料を撒いたこのイベントは『アサヒグラフ』『芸術生活』といった雑誌に写真が掲載され、全国にGUNの存在を知らしめる代表作品となった。70年以降は大学闘争の時代背景も影響して急速に左翼化し、ポリティカル・アートやコンセプチュアル・アートに傾倒していく。

 80年代以降、グループとしてのまとまりは失われていったが正式な解散はせず、メンバーは個々の活動を展開。2007年にアメリカのポール・ゲッティ美術館で開催された「芸術、反芸術、非芸術―戦後日本の実験芸術」展での紹介をきっかけに再評価の機運が高まっている。

文=中島水緒

参考文献
『GUN 新潟に前衛 (アバンギャルド)があった頃』(新潟県立近代美術館、2012)