ART WIKI
キネティック・アート
Kinetic Art
物理的な「動き」を導入した芸術作品のこと。先駆例には、垂直に屹立する一本の針金を電気モーターで振動させるナウム・ガボの《立てる波》(1920)、渦巻模様のガラス板の回転によって錯視的効果が生まれるマルセル・デュシャンの《回転ガラス板》(1920)、プラスチックや金属板で構成された立体の各部が動くモホイ=ナジの《ライト・スペース・モデュレーター》(1922‐30)などがある。
1930年代になると、アレクサンダー・カルダーが有機的な形態の金属板を吊り合わせる「モビール」を発表し、電気駆動装置の単調で反復的な動きとは異なる、自然力(空気の流れ)によって偶発的に動くキネティック・アートを実現させた。戦後、パリのドニーズ・ルネ画廊で行われた「運動」展(1955)を嚆矢として、運動、光、空間、環境、機械をテーマとする展覧会が欧米で数多く開催される。
60年代には新しいテクノロジーの台頭を背景に多様なキネティック・アートが登場し活況を示し始めた。この頃活躍した作家やグループに、モーター駆動によるジャンク・スカルプチャーを手がけたジャン・ティンゲリー、気象や音に反応するサイバネティクスを応用してモニュメンタルな作品を完成させたニコラ・シュフェール、フランスの視覚芸術探求グループ、イタリアのグルッポTなど。やがて80年代にデジタル・テクノロジーを活用したメディア・アートが登場すると、キネティック・アートはしだいに影を潜めるようになった。
1930年代になると、アレクサンダー・カルダーが有機的な形態の金属板を吊り合わせる「モビール」を発表し、電気駆動装置の単調で反復的な動きとは異なる、自然力(空気の流れ)によって偶発的に動くキネティック・アートを実現させた。戦後、パリのドニーズ・ルネ画廊で行われた「運動」展(1955)を嚆矢として、運動、光、空間、環境、機械をテーマとする展覧会が欧米で数多く開催される。
60年代には新しいテクノロジーの台頭を背景に多様なキネティック・アートが登場し活況を示し始めた。この頃活躍した作家やグループに、モーター駆動によるジャンク・スカルプチャーを手がけたジャン・ティンゲリー、気象や音に反応するサイバネティクスを応用してモニュメンタルな作品を完成させたニコラ・シュフェール、フランスの視覚芸術探求グループ、イタリアのグルッポTなど。やがて80年代にデジタル・テクノロジーを活用したメディア・アートが登場すると、キネティック・アートはしだいに影を潜めるようになった。
参考文献
『メディア・アート創世記 科学と芸術の出会い』(坂根厳夫著、工作舎、2010)
『テクノロジー・アート 20世紀芸術論』(三井秀樹著、青土社、1994)
『ロボット・アヴァンギャルド 20世紀芸術と機械』(山口勝弘著、Parco出版、1985)