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スタジオ200

Studio 200

 1979年にオープンし、1991年に12年間の活動の幕を閉じた「スタジオ200」は、池袋の西武百貨店にあって、席数180の小さな空間であった。そこでのジャンル越境的な企画プログラムは1000本を超えた。日本のアート・シーンのなかでも特異な存在で注目を浴び、実験映画、ヴィデオ・アート、音楽、ダンス、講演、演劇、演芸、ヴァーバルなどの分野、そしてさらにそれらのサブカテゴリーからなる多様な演目を連日催していた。

 最初期にプログラム・ディレクターを実験映画作家の松本俊夫が担ったため、70年代の「ノン・シアター・シネマ」から80年代を構想する「80年代映画への胎動」というプログラムから開始された。映画館では見ることのできない映画表現を上映する場として始まったが、同様に、大劇場にはない演劇、ダンス、音楽、美術館や画廊には入りきらないパフォーマンス、ヴィデオ・アート、ワークショップ、通常の寄席や演芸から逸脱している演芸、小説家、文学者のライブ・トークなど、まさに「オルタナティヴ」な文化が創出され、交流する場であった。

 ニューヨークにあるThe Kitchen(ヴィデオ・アーティストのウッディ・ヴァスルカが創設したスペース)が1971年末から活動を開始し、ジャンルにとらわれない企画でアートシーンにインパクトを与えており、これを先行事例と考える向きが見られるなど、80年代特有の先端的な表現分野を横断する世界的な流れとも同期していたとも考えられる。

 スタジオ200にて単独で行われる催しのほかに、「通俗・異端・音楽実験室」「新潮文化講演会」「三遊亭圓窓・スタジオ五百噺」「実験映画CINEMA TODAY」などシリーズ化されたプログラムもあり、それぞれに固定した観客があった。

 西武美術館、西武劇場などの大型文化施設をコアに展開していたセゾン・グループの文化戦略の一環として始まったもので、それはメインストリームだけでなく、もういっぽうの極にある様々に点在する非主流の表現分野に及び、スタジオ200はそのなかにあった。

文=沖啓介

参考文献
スタジオ200『スタジオ200活動誌[1979-1991]』(西武百貨店、1991)
由井常彦ほか『セゾンの歴史 変革のダイナミズム(上下)』(リブロポート、1991)