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パオロ・ウッチェロ
Paolo Uccello
パオロ・ウッチェロは1397年生まれ。ルネサンス期の画家。本名はパオロ・ディ・ドーノ(Paolo di Dono)。鳥を描くことが得意だったことから「ウッチェロ(鳥)」の通称がついたとされる。初期ルネサンスを代表する彫刻家のひとり、ロレンツォ・ギベルティの工房で修業。初期には師の教えを感じさせるゴシック様式のフレスコ画を制作し、その後、遠近法の研究に没頭するようになる。ウッチェロの活動期にはギベルティとサン・ジョヴァンニ洗礼堂の門扉制作で競ったことでも知られるフィリッポ・ブルネレスキが「線遠近法(透視図法)」を編み出し、ドナテッロが彫刻の、マサッチオが絵画の分野で応用するなど、立体感や奥行きをつくり出すことが研究された。ウッチェロはドナテッロやマサッチオに影響を受けた画家のひとりであり、遠近法を用いた代表的な作例に、開戦から勝利までの場面を描いた三部作「サン・ロマーノの戦い」がある。本作では遠近法の一種である短縮法も試みており、ナショナル・ギャラリー(ロンドン)に所蔵されている作品を例に挙げると、地面にある武器が実物の長さより意図的に短く描かれている。ウッチェロの現存作品は少ないが、代表作のうち「サン・ロマーノの戦い」の3作品はそれぞれが、ウフィツィ美術館(フィレンツェ)、ルーヴル美術館(パリ)、ナショナル・ギャラリーに所蔵されているほか、フレスコ画《ジョン・ホークウッド騎馬像》(1436)がサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(フィレンツェ)に残されている。1475年没。