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堀川紀夫

Horikawa Michio

 堀川紀夫は1946年新潟県中頸城郡(現・上越市)生まれ。68年に新潟大学教育学部美術科を卒業後、86年に上越教育大学大学院美術コースを修了。67年に、前山忠、市橋哲夫らをメンバーとする現代美術グループ「新潟現代美術家集団GUN」の結成に参加する。70年に新潟の信濃川河川敷で行ったランド・アート《雪のイメージを変える》は同グループの代表作。雪原を赤・青・黄・緑の顔料で染めた、羽永光利の撮影による写真が雑誌『アサヒグラフ』の表紙を飾るなど全国的に知られる。2008年には当時のメンバーを中心とした「雪アート・新潟ユニット」が新たに結成され活動を続けている。

 個人としても新潟を拠点にパフォーマンスを展開。69年にアポロ11号の月面着陸から着想を得て、「地球の石」を郵便で送る「石を送るメールアート」シリーズを開始し、アポロ11号の月面着陸当日の同時刻に信濃川から採取した11個の石を、中原佑介、松澤宥、高松次郎ら11人の美術関係者に郵送する。同シリーズのうち、反戦の意思表示として当時のアメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソンや、70年には佐藤栄作元首相にも石を送っている。また美術の教育者として2006年まで約40年にわたって公立学校の教壇に立つ。近年の個展に「Not a Stone’s Throw」(MISA SHIN GALLERY、東京、2018)。展覧会に、「Psychic Wounds: On Art & Trauma」(The Warehouse、テキサス、2020)、「Radicalism in the Wilderness: Japanese Artist in the Global 1960, Japan」(Society Gallery、ニューヨーク、2019)、「Century City」(テート・モダン、ロンドン、2001)ほか多数。

 2006年の大地の芸術祭(新潟県十日町市)では、前山忠らとともに古民家を再生する空家プロジェクト「湯山の家」に取り組み、現在は「ギャラリー湯山」としてGUNの活動拠点や、地元作家の活動を紹介する場となっている。大地の芸術祭の里にはこのほか、空の一部を巨大な鏡に映す堀川の作品《Sky Catcher09》(2009)が収蔵されている。