EXHIBITIONS

石内 都 肌理(きめ)と写真

2017.12.09 - 2018.03.04

石内都 金沢八景 #8 1975-76 © Ishiuchi Miyako

石内都 ひろしま #106 Donor: Hashimoto, H. 2016 © Ishiuchi Miyako

石内都 金沢八景 #8 1975-76 © Ishiuchi Miyako

石内都 yokohama 互楽荘 #2 1986-87 © Ishiuchi Miyako

石内都 絹の夢 #50 併用絣銘仙 桐生 2011 アーツ前橋蔵 © Ishiuchi Miyako

 2014年にアジア人女性として初めてハッセルブラッド国際写真賞を受賞した石内都の大規模な写真展が開催される。

 多摩美術大学で織りを学んだ石内は、1975年より独学で写真を始め、思春期を過ごした街・横須賀や、日本各地の旧赤線跡地の建物などを撮影した粒子の粗いモノクローム写真で一躍注目を集めた。80年代以降は、目に見えない時間のあり処としての身体に関心を寄せ、同い歳の女性の手足を接写した「1・9・4・7」や、傷跡を写した「Scars」など数多くのシリーズを発表。こうした実績が評価され、2005年には下着や口紅など、母親の遺品を撮影した「Mother’s」で、ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選ばれた。近年は、広島平和記念資料館に寄贈された被爆者の遺品を被写体とする「ひろしま」や、メキシコの画家フリーダ・カーロの遺品の撮影などに取り組み、その活動は多くの注目を集めている。

 本展は、石内自らが「肌理(きめ)」というキーワードを掲げ、初期から未発表作まで、約200点を展示構成する。住人のいなくなったアパート、身体の傷跡、日本の近代化を支えた大正・昭和の女性たちが愛用した絹織物、亡き母や被爆者らの遺品などの写真を通して石内が表現するのは、存在と不在、人間の記憶と時間の痕跡だ。