EXHIBITIONS

αMプロジェクト2022「判断の尺度」vol.1

髙柳恵里「比較、区別、類似点」

2022.04.16 - 06.10

DM画像 ©︎ 2022 Eri Takayanagi

髙柳恵里 2m(ルールとアバウト/K) 2014

髙柳恵里 レンガとブロック 2019

髙柳恵里 実存 2018 撮影=木奥惠三 提供=TALION GALLERY

 gallery αMは、千葉真智子(豊田市美術館学芸員)をゲストキュレーターに迎えたαMプロジェクト2022「判断の尺度」をスタート。第1弾は髙柳恵里の個展「比較、区別、類似点」を開催する。

 今年4月から1年間続く「判断の尺度」シリーズには、髙柳らアーティスト5組が参加。正しい判断とは何かを考え、これまでの尺度を手放し、美術の造形(=言葉)によって判断の尺度をつくり直す試みになるという。

 髙柳は1962年神奈川県生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科修了。日常の身近なものに目を向け、自身が感じ取った違和感や、ものに対する独自のとらえ方を、素材にわずかに手を加えることで作品としてきた。

 今回キュレーションを手がける千葉真智子は「髙柳さんの作品は、態度なのだと思う」としながら、本展のステイトメントで次のように述べている。

「今回の企画の始まりにあったのは、正しい判断があるとしたら、それはどのようにあり得るのか、ということであった。本来、無数にあるはずの正しさに対して、私たちはどのように距離をとり、しかし、そのなかで、何かしらの判断をするとすれば、その根拠をどこに求めることができるだろうか。アガンベンが『中味のない人間』のなかで最初に投げかけた問いは、作品の評価(美的判断)が作家の経験から奪われ、鑑賞者の立場からのみ検討されてきたことだった。

 そこで改めて、作家による選択や判断という視点を導入してみる。とはいえ、作家による判断が、私たちに何らかの指標を提示してくれるとしたら、それはもはや作家の判断という領分を超えているのではないだろうか?作家自身がそこに最終的に立ち上がったものに驚く。そこで生じた出来事に驚く。それをしたのは作家であるにもかかわらず。世界を眺める尺度が一つ生まれる(千葉真智子)」。

 なお「判断の尺度」シリーズは、初回の「比較、区別、類似点」展に続き、加藤巧(6月18日〜8月6日)、荒木優光(8月27日〜10月15日)、大木裕之(10月29日〜12月17日/23日)、高嶋晋一+中川周(2023年1月14日〜3月11日)の個展を予定している。