谷村メイチンロマーナ 個展「ROMANA TOY STORE」

　myheirloomで、谷村メイチンロマーナの初個展「Romana Toy Store」が開催されている。

　谷村は1998年⽣まれ。現在、東北芸術工科大学大学院芸術文化専攻複合芸術領域に在籍中。2021年には、東北芸術工科大学の卒業制作で最優秀賞を受賞し、エキゾチックファイアードラゴン「マスダ三兄弟」という巨大な作品で注目された。

　本展のコンセプトは「玩具屋」。谷村が創造するキャラクターたちの専門店を、ポップアップストアのように空間構成している。

　昨年のアートアワードトーキョー丸の内で後藤繁雄賞を受賞した際に挑戦した、ストアのショーウィンドウのような展示構成をより深化させ、作品単体から空間全体でコンセプトを体現できるよう、そして展示方法や鑑賞体験にも遊び心を感じてもらえるような内容となっている。

　大量のポリウレタンフォームを主原料としてエアブラシで彩色し、商業フィギュアが梱包されているブリスターパックさながらに外装パーツにまでこだわった作品は、谷村のカートゥーンやソフビに対する並々ならない愛情を感じさせる。その思いをいかに展示として魅せることができるかに意識的に取り組んだ本展は、これまでの作家の表現の集大成となり得るだろう。

　それぞれのキャラクターにはアメコミを思わせるストーリーが設定され、エイリアンや怪獣、異星人など、作家が幼少期に胸躍らせたヒーローやエネミー、キャラクターの持つ本質的な役割とその特徴が巧妙にデザインに落とし込まれている。

　ソフビやカートゥーン特有のデフォルメされた記号美に魅せられた谷村。「美術の世界においておもちゃ的な存在と芸術とを橋渡し出来るような創作を続けて行きたい」と語っている。