土取郁香「Blind Spot」

　COHJU contemporary artでは、土取郁香の個展「Blind Spot」を開催する。

　土取は1995年兵庫生まれ。2020年京都造形芸術大学大学院（現・京都芸術大学大学院）美術工芸領域修士課程修了。在学中より、親密な2人の姿を描く「I and You」シリーズや、風景から色やかたちといった要素を抽出した「a scene」シリーズなど、繊細ながらも凛とした空気の漂う絵画で注目されている。

　ラッカースプレーなど即興性と平面性の高い素材を用い、具象と抽象のあいだを自由に行き交うような画面構成と色彩感覚で、独自の世界観を追求してきた土取。COHJU contemporary artでの初個展となる本展のタイトルには、盲点や死角といった意味を持つ「Blind Spot」という言葉をつけた。日々の生活のなかで私たちが見落としている関係性や感情の機微、あるいはまだふれられていない物事の一側面などに目を向ける土取の絵画にとっては、通奏低音とも言える要素のひとつだ。

　会場は、新作10点前後を中心に、見えているもの／見えていないものを同居させることで、私たちに気づきを与えるような展示構成となる。