児玉房子「千年後には、東京」

　児玉房子が、1991年から約1年をかけ撮影した東京のスナップ写真を集め、92年に発表した「千年後には、東京」の展覧会が、約20年を経て再び開催される。

　「わたしたち」のありようを客観的に見せてくれる児玉の写真。90年代初頭の、バブルといわれた時期の東京の街と人々の写真群には、バブルという言葉が持つ否定的なイメージとは裏腹に、明るい光に満ちた一種の透明感が感じられ、まるで別の国の人々のようにとらえられている。

　タイトル「千年後には」は、「千年後」という途方もない時間を経てしかわからないことを、写真というメディアがとらえることができるかもしれないという作家の予測と思いが込められている。