EXHIBITIONS

鉄道芸術祭vol.10「GDP THE MOVIE〜ギャラクティック運輸の初仕事〜」

2021.11.20 - 2022.02.27

前年度の鉄道芸術祭vol.10 展示風景 撮影=松見拓也

前年度の鉄道芸術祭vol.10 展示風景 撮影=吉見崚

作中登場するロゴマーク 制作=松見拓也

 京阪電車中之島線「なにわ橋」駅構内のコミュニティスペース「アートエリアB1」が開催する「鉄道芸術祭」は、「鉄道」の文化や歴史、その創造性に着目した企画展。2010年のスタート以来初となる2ヶ年プロジェクトとして昨年の「GDP(Gonzo dot party)」に続き、大阪を拠点とする2組、contact Gonzoとdot architectsを迎える。

 contact Gonzoは、肉体の衝突を起点としたパフォーマンスや展示で、国内外のダンスフェスティバルや美術館で広く活躍するアーティストユニット。いっぽうのdot architectsは、多様な協働を重視した設計施工をはじめ舞台美術、リサーチプロジェクトなども手がける建築家ユニットだ。異なる領域で活動しながらも通底する哲学を有する2組が、前回展に引き続きタッグを組む。

 2ヶ年プロジェクト「GDP(Gonzo dot party)」と「GDP THE MOVIE〜ギャラクティック運輸の初仕事〜」のテーマは、社会システムの根幹をなす「経済」。「GDP」は、国の経済力の指標である「国内総生産」を意味するが、本展では、経済を独自にとらえ直すために繰り広げる 「Gonzoとdotによる多種多様な Party」の総称として用いている。そしてここでの「パーティ」とは、有用性や生産性を重視した今日の利潤追求型の経済的合理性を疑問視し、かつてフランスの思想家・バタイユが提唱した蕩尽と祝祭を参照しながらも、現代的な批評眼と創造的遊びの精神に則った実践の数々を意味しているという。

 1年目の「GDP(Gonzo dot party)」では、コロナ禍で社会情勢が揺らぐ日々において、経済とパーティにまつわる9つの出来事を積み重ね、その痕跡によって展示空間を構成・更新していく展覧会の実験を行った。そして本番と位置付ける今年は、展覧会と映画制作の構造を活用した独自の視点から「経済」のあり方を探究し、現状を創造的に乗り越えるための指標を導き出す。

 本祭の会期は2021年11月20日〜2022年2月27日まで。11月20日のオープニング・プログラムや12月の上映会をはじめ、会期中に開催されるプログラムの詳細は公式ウェブサイトをチェックしてほしい。